戸建てやマンションからの住み替えを解説|手続きの流れや注意点は?

文字どおり住む家を替える住み替え。賃貸物件から賃貸物件への住み替えや、新居購入による住み替えなど、さまざまなケースがあります。住み替えの際は賃貸や売買の契約といった不動産契約が必要ですが、中でも現在の住まいを売却して新居を購入する場合は、タイミングや方法など慎重に検討しなければなりません。今回は、戸建てへの住み替えを「戸建てから戸建て」「マンションから戸建て」の2パターンに分けて詳しく解説します。

戸建てに住み替えるときの注意点

戸建てやマンションからの住み替えを解説|手続きの流れや注意点は?

戸建てに住み替える際は、購入する物件の検討の他、資金についても綿密な計画が必要です。事前に注意するポイントを押さえて、後悔のない住み替えをしましょう。

将来の資産価値

長く住み続ける前提の住み替えでも、老後など諸事情で住宅を売却する可能性もあります。その際重要になるのがリセールバリューと呼ばれる、住宅を売却した場合の価格。

戸建て住宅の場合は土地と建物の合計価格になりますが、住宅の価格は築年数の経過とともに下がります。一方で土地の価格は、売却時の状況に応じて上がる可能性もあるでしょう。

駅や高速道路のインターチェンジに近いといった利便性の高い土地は、価格が下がりにくいと考えられます。また、過去の土地の価格の推移も参考になります。国土交通省のHPから確認できるため、チェックしてみてはいかがでしょうか。

現在だけでなく、10年後、20年後といった将来の資産価値についても、検討材料のひとつに入れておきましょう。

土地の条件をチェックする

求めているエリアや広さの土地が見つかったとしても、その土地が条件付きの場合があるため要注意です。

条件付きの土地とは、「建築条件付き土地」と呼ばれ、指定された会社で一定の期間内に住宅を建築することが購入の条件となっている土地のこと。条件がない土地に比べ、土地の価格が低く設定されていることが多いのがメリットです。他にも、建売住宅に比べて間取りや設備が選べる点もメリットと言えますが、多くの場合でプランが設定されているため、注文住宅ほどの自由度は期待できないでしょう。

デメリットとしては、住宅を建築する会社が決まっていること。決まった建築士にお願いしたい場合や指定された会社の住宅デザインが好みでなくても、会社の変更はできません。また、一定期間内に住宅を建築しなければならないため、土地だけ保有しておくこともできません。「気に入ったエリアの土地だけ購入しておいて、将来的に家を新築しよう」と考えている場合は、建築条件付き土地は選択肢から外した方が無難です。

住環境

土地の地盤は、地震による建物の倒壊や土砂災害のリスクを把握するためにも必ず確認しておきたいところです。国土交通省のハザードマップで防災情報を確認しておきましょう。

また、敷地が接している道路「接面道路」の幅や日当たりの良さなども、住みやすさだけでなく資産価値に影響します。接道面が極端に短い土地や旗竿地は人気が低く、接道面が長い長方形の土地は人気が高い傾向にあります。また、南向きの日当たりが良い土地の中でも、東南の角地は特に人気が高く資産価値が下がりにくいようです。

隣近所の様子

土地や建物だけでなく、周辺環境の様子や夜間の照明などは、何度か現地に足を運んで確認すると良いでしょう。周辺の治安は、警視庁の「犯罪情報マップ」が参考になります。住宅を購入した後で再度住み替えをすることは困難なため、必ず事前に確認をしましょう。

返済が可能であるか

住宅購入の際は住宅ローンを利用するケースが多いですが、借入金額は年収を基準に計算されます。しかし同じ年収でも家庭によって支出額が異なるため、返済に充てられる金額も変わってくるでしょう。住宅ローンの借り入れは、借入可能額で設定するのではなく返済可能な金額で設定する必要があります。

戸建てから戸建てへの住み替えとは

戸建てやマンションからの住み替えを解説|手続きの流れや注意点は?

ここからは、戸建てから戸建てへの住み替えの流れついて詳しく見ていきましょう。現在の住宅を売却して新居を購入する住み替えの場合、その手順の違いにより「売り先行」と「買い先行」という2つのパターンがあります。売り先行は、先に今の住宅を売却してから新居を購入すること。反対に買い先行は、先に新居を購入してから今の住宅を売却することです。

住宅ローンが残っている場合は「売り先行」がおすすめ

住宅ローンの返済が残っている場合は、先に今の住宅を売却する売り先行がおすすめです。売り先行で手続きすることで、売却益を新居購入の資金や住宅ローンの返済に充てることができるのがメリット。一方で、新居に住み替えするまでの間にブランクがあるため、仮住まいの費用や引っ越し費用が余分にかかるというデメリットもあります。

中古戸建てへの住み替え

中古戸建てへの住み替えの場合、売り先行で進めていくのがおすすめです。物件が既に入居できる状態ならば、売却と購入を同日決済できるのが望ましいでしょう。住宅ローンの残債の決済と新居の引き渡しを同日に行うことで、二重ローンになることを避けられます。

建売戸建てへの住み替え

建設中の建売戸建てへ住み替えでは、多くの場合買い先行で手続きを進めます。売却と同時決済できるのがベストですが、新居の完成の方が早いケースでは、現在の住宅ローンと新居の住宅ローンの二重ローンになる可能性があります。購入を決めたら、できるだけ早く今の住まいを売却できるよう手続きを進めましょう。

注文住宅への住み替え

注文住宅は完成までの期間が長いため、今の住宅の売却と新居購入の同日決済は難しいかもしれません。売却の手続きを進めながら、完成時期との兼ね合いを見て、できるだけ仮住まいの期間が短くなるようタイミングを調整しましょう。

戸建てのローン残債がある場合は?

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ローンの残債がある場合、原則として完済して抵当権を解除しなければなりません。ここからは、完済できなくても抵当権を外して住み替える方法とあわせて確認しておきましょう。

自己資金と売却益で完済する

今の住宅の売却益でローンが完済できればベストですが、売却益だけで賄えない場合は自己資金で補って完済します。

住み替えローンを利用する

住宅の売却益と自己資金で返済してもローンの残債がある場合は、住み替えローンを利用するという方法があります。住み替えローンとは、今のローンの残債を新居の住宅ローンに上乗せして借りること。

二重ローンにならずローンを一本化できますが、購入する住宅の価格より高く設定するため、一般的に金融機関での審査が厳しくなります。

賃貸物件として貸し出す

今の住宅を売却せず賃貸物件として貸し出す方法があります。賃貸物件の家賃収入で住宅ローンを返済できますが、入居者が居ない場合は家賃収入がゼロになるリスクがあるため要注意。

賃貸物件にした場合、条件によっては住宅ローンを利用できなくなります。住宅ローンよりも金利の高い不動産投資ローンなどを利用することになるため、こちらも注意が必要です。

マンションから戸建てに住み替える場合のメリット・デメリット

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ここからは、マンションから戸建てへの住み替えについて、メリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

マンションから戸建てへの住み替えでのメリットのひとつは、騒音問題を気にしなくて良くなることです。足音や掃除機などの生活音が階下に響いたり、反対に上の階や隣人の音が気になったりというマンション住まいでの悩みは、戸建てへの住み替えで解消されます。

また、マンションと大きく異なる点として土地を所有することが挙げられます。マンションも戸建ても、年数が経つと一般的に建物の資産価値は下がりますが、土地の価格は下がりにくいため資産として残せるのもメリットです。

デメリット

マンション住まいではオートロックなどセキュリティが万全だった場合も、戸建てに移ると自分で対策をする必要があります。また、マンションで毎月徴収されていた修繕費の積み立てはなくなりますが、住宅に不具合が出たときのために自分で用意しておかなければなりません。

マンションによっては24時間毎日ゴミが出せるところもありますが、戸建ての場合は場所や曜日の指定があるため、面倒だと感じることもあるでしょう。

マンションから戸建てへの住み替えとは

分譲マンションから戸建てへの住み替えも、売り先行と買い先行の2つのパターンがあります。それぞれのケースについて、流れを確認しておきましょう。

マンション売却を先に行う「売り先行」がおすすめ

マンションを先に売却する売り先行の方が、売却益を新居の購入資金に充てられるためおすすめです。建売住宅や中古住宅の場合は建物の完成や引き渡し時期の目処を立てやすいため、売却と購入の同時決済や仮住まいの期間を短くすることもできるでしょう。

注文住宅購入の場合は、「買い先行」となることも

注文住宅は完成までの期間が長く、仮住まいの期間が長くなる可能性があります。仮住まいが長くかかるとその分経費がかかるため、買い先行の方がおすすめです。

マンションと戸建て、固定費の違いは?

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マンションと戸建てでは、負担する固定費に違いがあります。固定資産税と維持修繕費について見ていきましょう。

固定資産税

固定資産税とは所有している住宅や土地にかかる税金ですが、一般的に戸建てよりもマンションの方が高くなります。その理由は、減価償却期間がマンションの方が長いためです。

固定資産税の計算方法では、便宜上経年劣化により建物自体の価値がゼロになる期間を定めています。その期間がマンションなど鉄筋コンクリート造の建物の方が長く設定されているため、計算上マンションの方が高くなるのです。

また、マンションの土地は入居者で区分所有している形になります。戸建てに比べ物件価格に対して土地の割合が少なくなるため、土地に対する税金の軽減措置の恩恵を受けにくいのも固定資産税が高くなる要因のひとつです。

維持修繕費

住まいを維持したり修繕したりする費用はどうでしょうか。マンションでは毎月決まった額を修繕積立金として徴収されます。戸建てでは徴収がない分、修繕が必要な場合は全額自己負担となります。同価格の物件に同じ期間住み続けた場合、一般的にマンションの修繕積立金の合計額より戸建ての修繕費用の方が安いようです。

マンションでは管理費や駐車場・駐輪場代といった費用がかかりますが、戸建ての場合は不要です。反対に火災保険については、一般的に戸建ての方がマンションより高い保険料となります。

ベストなタイミングで後悔のない住み替えを

今回の記事では、戸建てへの住み替えについて流れや注意点を中心にお伝えしました。ベストなタイミングで住み替えをするためには、購入する物件の選び方の他、売り先行や買い先行といった売却と購入の時期や手続きも大切です。広島で戸建てへの住み替えを検討されている方は、是非マエダハウジング不動産にご相談ください。