中古住宅を購入したら確定申告が必要?住宅ローン控除(減税)との関係や流れを解説

マイホームは人生において大きな買い物です。近年では中古住宅を自分好みにリノベーションするケースも多く、新築住宅と違ったおもむきを楽しむ方も多くいます。そこで疑問となりやすいのが確定申告。「減税制度はあるの?」「必要書類は?」「住宅ローン控除は新築住宅と同様に受けられる?」など、中古住宅だからこそ立ち止まってしまうケースもあるでしょう。本記事では中古住宅購入時の確定申告の流れを分かりやすく解説します。

確定申告とはどのようなもの?

中古住宅を購入したら確定申告が必要?住宅ローン控除(減税)との関係や流れを解説

まずは確定申告の基本をおさらいしましょう。

確定申告の概要

確定申告とは、1月1日から12月31日までの期間に所得があった人が、その年の所得税などを計算して、その額を確定させる手続きです。

基本的に給与所得者は会社が年末調整の手続きを行うため確定申告は必要ありません。しかし、給与の年収が2,000万円を超える人や、複数カ所から申告すべき所得がある人、減税や控除の手続きが必要な人などは確定申告を行います。

住宅購入後の確定申告で税金控除となる制度は?

住宅を購入した人も確定申告の対象。確定申告をすることで、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」や「認定住宅等新築等特別税額控除」を受けることができます。

<住宅ローン控除とは>
住宅ローン控除は正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる、ローンを組んで自身が住むための住居を購入した人が受けられる制度。住宅ローンの残高に応じて、所得税が控除される仕組みです。所得税で控除できない分は翌年の住民税からも控除されます。

<認定住宅等新築等特別税額控除とは>
「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」を新築または購入したときなどに、面積に応じて所得税から税額控除される制度です。

確定申告の期間

確定申告には、申告期間があります。基本的に1月1日から12月31日までの申告分を、翌年の2月16日から3月15日の1カ月間で申告する流れです。

スケジュールは基本的に毎年変わりません。住宅ローン控除を受ける場合は、該当住居に入居した翌年に管轄の税務署へ書類の提出が必要となります。

中古住宅購入でも確定申告で住宅ローン控除を受けられる

中古住宅を購入したら確定申告が必要?住宅ローン控除(減税)との関係や流れを解説

「住宅ローン控除は新築住宅だけの制度」と思っている方もいるかもしれませんが、中古住宅購入の場合も、条件の範囲内であれば住宅ローン控除の恩恵を受けることができます。そのためには、前項でご紹介したように、確定申告が必須です。

<中古住宅購入の際の住宅ローン控除の内容>

  • 認定住宅…ローン残高3,000万円を上限に最長10年間0.7%の控除率で控除
  • 一般の中古住宅…ローン残高2,000万円を上限に最長10年間0.7%の控除率で控除

一般の中古住宅であれば、1年間で最高21万円、10年間で最高210万円の控除を受けることができます。

中古住宅で住宅ローン控除を受ける際の基本的な条件はこちらです。

<中古住宅購入の際に住宅ローン控除を受けるための代表的な条件>

  • 自身が住むための住居であること
  • 取得から6カ月以内に入居し、12月31日の時点で住んでいること
  • 10年以上住宅ローンがあること
  • 1982年1月1日より後に建築された住宅であること
  • 床面積50平方メートル以上であること
  • 住宅ローンを受ける年の所得金額の合計が2,000万円以下であること

条件詳細は、国税庁のホームページを確認すると確実です。
参照:国税庁No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

【中古住宅購入の確定申告】における必要書類

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ここからは、中古住宅購入にともない住宅ローン控除を受けるための確定申告で必要な書類を解説していきましょう。

<中古住宅購入後の確定申告での必要書類>

  • 確定申告書
  • 本人確認書類の写し(マイナンバーカードなど)
  • その年の源泉徴収票
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  • 登記事項証明書
  • 不動産売買契約書の写し
  • 耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し

中古住宅の購入で住宅ローン控除を申請するには、確定申告で必要な「確定申告書」、「本人確認書類の写し」、「源泉徴収票」に加えて、4つの書類が必要です。

「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は、国税庁のホームページや税務署で様式が手に入ります。「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は住宅ローンを組んでいる金融機関からもらう書類です。「登記事項証明書」は法務局を通して準備しましょう。「不動産売買契約書の写し」は住宅の取得価格を証明するもので、工務店や不動産会社などで発行された契約書をコピーします。

「耐震基準適合証明書」や「建設住宅性能評価書の写し」は、購入した中古住宅が1981年12月31日以前に建築された建物の場合に必要な書類です。

さらに中古住宅が認定住宅に相当する場合は、追加で住宅の区分に応じて「認定通知書」や「住宅用家屋証明書」、「住宅省エネルギー性能証明書」といった住宅の性能を証明する書類が必要となるため覚えておきましょう。

確定申告書や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書といった書類の書き方は、税務署の相談コーナーなどで教えてもらえます。そのほか、国税庁のホームページに記入例が掲載されているため、記入方法が不安な方は参考にしてみてはいかがでしょうか
参考:国税庁 確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)

確定申告のタイミングはいつ? 

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中古住宅購入にともなう住宅ローン控除申請のための確定申告のタイミングは、新築住宅を購入したときと基本的に変わりません。タイミングなどを分かりやすくご紹介していきましょう。

確定申告は初年度に行う

住宅ローン控除を受ける場合は、入居した翌年に管轄の税務署へ確定申告することが必要です。その際は、前項で解説した必要書類を一式そろえて提出しましょう。

確定申告は、手書きで書類を作成して直接税務署に持ち込む、または郵送して手続きをする方法のほかに、オンラインで書類を作成してインターネットで申告する方法もあります。

ちなみに、住宅ローン控除を受ける理由だけで申告をする場合は、2月16日を待たずに、1月1日以降から受け付けてもらうことができます。税務署の混雑を回避したい方や、じっくりと税務署の担当者に相談しながら手続きを進めたい方におすすめです。

2年目以降は手続きの必要はあるが確定申告は不要

初年に住宅ローン控除の手続きをきちんととれば、基本的に2年目以降は所定の手続きのみで、確定申告不要で住宅ローン控除を継続することができます。

会社員など給与所得者の場合は、年末調整で勤務先へ「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を提出するだけで住宅ローン控除を受ける手続きは完了です。

一方、個人事業主など自営業者の場合は確定申告が必要となります。初年の手続きと同様に、確定申告書と各種必要な書類をそろえて所轄の税務署へ提出することで、住宅ローン控除の対象となります。

給与所得者と自営業者で手続きの流れが異なるポイントはおさえておきましょう。

確定申告しないと住宅ローン控除は受けられない?損してしまう? 

新築住宅・中古住宅に関わらず、控除を受ける最初の年の確定申告をしないと、住宅ローン控除は受けられないため注意が必要です。しかし、忘れてしまった場合、そのまま損をしてしまうわけではありません。住宅ローン控除は、さかのぼっての申告も可能です!

住宅ローン控除の確定申告は、初年の手続きを忘れてしまった場合、住宅を購入した年の翌年から5年間にわたって、過去にさかのぼり確定申告できます。

「中古住宅購入の場合は確定申告しても住宅ローン控除を受けられないと思っていた」「住宅ローン控除対象外の住居だと思っていた」といったケースもあるかもしれません。5年間を過ぎると還付請求ができなくなるため、「もしかしたら…」と思い当たる方は、早めに確定申告の漏れがないか確認してみることをおすすめします。

中古住宅をリフォームしたら確定申告は必要? 

中古住宅購入時だけでなく、住宅ローンを組んで中古住宅をリフォームしたり、リノベーションをしたりした場合も確定申告をすることで条件に適していれば住宅ローン控除が適用されます。

リノベーション住宅において住宅ローン控除を受けるための条件はこちらです。

<増改築等した家が住宅ローン控除を受けるための条件>

  • 増改築から6カ月以内に入居すること
  • 控除を受ける年の12月31日まで住んでいること
  • 特別控除を受ける年の所得金額の合計が2,000万円以下であること
  • 増改築後の床面積が50平方メートル以上
  • ローンが10年以上残っていること
  • 増改築の年とその前後2年間で、譲渡所得の課税の特例の適用を受けていない
  • 自分が住んでいる家の増改築であること
  • 増改築の額が100万円以上であること

リフォーム時の住宅ローン控除の額は、ローン残高2,000万円を上限に最長10年間0.7%となります。リフォーム時も確定申告を忘れないよう気をつけましょう。

確定申告で住民税が控除されるケースも 

中古住宅を購入したら確定申告が必要?住宅ローン控除(減税)との関係や流れを解説

新築住宅・中古住宅を購入した方で住宅ローン控除を受ける方は、住民税が控除されるケースもあります。それは、住宅ローン控除額を所得税額から控除しきれなかったケース。たとえば、住宅ローン控除額が14万円の方の、控除前の所得税が12万円だったとしましょう。この場合、2万円が控除されないこととなります。

そういったときは2万円が翌年度の住民税から控除される制度となっています。ただし、住民税からの控除額には上限があります。

確定申告の際の注意点

最後に確定申告をするときの注意点をおさらいしていきましょう。

まず意識したいことは、期間内で確定申告をすることです。住宅ローン控除を受けるために、中古住宅を購入した年の翌年に確実に確定申告をして、所定の書類を提出しましょう。申告を忘れてしまっても大丈夫ではありますが、還付申告の期限は必ず守ります。

必要書類を紛失しないことも大切。住宅ローン控除を受けるためには多くの提出物が必要で混乱しがちですが、契約書など、替えが効かない書類は紛失しないよう心しておきましょう。

中古住宅購入でも確定申告をして控除を逃さない!

中古住宅購入後に確定申告をすることで、住宅ローン控除を受けることができます。床面積が50平方メートル以上であること、自分が住むための住居であること、控除の対象となる年の所得が2,000万円以下であることなど細かに条件が決まっていますが、控除の対象となれば家計が助かるはず。ぜひ中古住宅購入の際は、住宅ローン控除の対象となるかどうかを確認し、確定申告を忘れずに行いましょう。広島で中古住宅を購入するにあたり疑問があれば、ぜひマエダハウジング不動産へお問い合わせください。