NO.55 新築と中古で迷わなくてもいい?

これからマイホームを買いたい方からよく聞かれるのが、「新築と中古どちらがいいのでしょうか?」とうい質問です。不動産会社としては、どちらともメリット・デメリットがあるという話をすることが多いと思います。その中でお客様が判断されることになるのが現状だと思います。ところが、色々な角度から新築と中古を見てみると、新築か中古かという質問の答えは、買ってはいけない中古住宅以外は、大半のケースで中古住宅を購入した方がいいのではないか思います。

もちろん、中古住宅であれば何でもいいということではなく、新築住宅にメリットがないわけでもありませんが、物件価格や資産価値、住宅の寿命や設備、事前情報を十分に比較すると中古住宅は絶対に買うべきではないという理由は見当たりません。

実際にどれくらい売れているかデータを見てみると、2021年現在、新築住宅よりも中古住宅の方が売れているというデータがありました。また2016年からは新築住宅の成約件数よりも中古住宅の成約件数が多かった記録があります。

このように、実際に売れている中古住宅ですが、もし新築と中古で迷った場合に、中古住宅を購入した方がいいという理由をあげてみます。

1.中古住宅の価格には「新築プレミアム価格」がない

新築には、展示場・モデルルーム。広告宣伝費、メーカー・ディベロッパーの利益等の費用が販売価格に上乗せされています。なので購入直後に売り出すと、購入価格の80%程度となるのが普通です。なので価格が高くなるのは当然で中古住宅よりも高額となります。

2.「新築プレミアム価格」が中古住宅のリフォーム費用を上回る

少し前のデータですが、現在の住居を対象にしたリフォーム費用の平均は平均539.9万円、中古住宅購入時のリフォーム費用の平均は612.9万円となっています。新築住宅では約4,000万円程度の販売価格の場合では、この新築プレミアム価格は約800万円となり、中古住宅を買って、リフォームをした総額よりも高くなります。なので中古住宅を買ってリフォームすることは全体の価格を抑えることができることになります。

3.中古は新築よりも資産価値の下がり幅が小さい

マンションでは築6~10年以内では新築時の10%前後、さらに11~15年になると20%以上値下がりし、その後徐々に資産価値は下がっていき30年で下げ止まるデータがあります。中古戸建ての場合も同じように資産価値は下がっていきますが、築20年程度で建物の価値はなくなり土地代だけの資産価値となっていることが大半です。重要なのは資産価値が下げ止まるタイミングで中古住宅を購入することです。生活面や設備面より資産価値や購入費用を重視しているという方はぜひ築20年以降の中古住宅も検討してみてはいかがでしょうか。

4.新築マンションは入居時の一括で修繕積立基金を支払う

新築マンションを購入した場合、入居後支払う修繕積立金の基金となる「修繕積立基金」を一括で支払う必要があります。また新築は業者の商品となるので、建物代には消費税がかかっています。中古住宅の内個人の所有であれば、個人間売買となり消費税はかかりません。このように購入時の初期費用で言うと新築住宅はマンション・戸建てに限らず、建物代には消費税がかかるため、初期費用が高くなりがちです。

5.中古住宅は実際の物件を見て選ぶことができる

中古住宅のメリットに、実際に購入予定の物件を直接確認することができることができます。新築マンション、新築戸建てのモデルルームの大きさは確かに実寸で作られていますが、全体的に広く見せることを目的としているため家具は低いものが多く、収納家具も少ない場合が一般的です。また最大限よく見せるようにかなり豪華で華美なインテリアコーディネートがされており、そのコーディネートのイメージが付きすぎて実際の入居後のイメージとかけ離れることもあります。中古住宅の場合は、日当たりや眺望、風通しやにおいから騒音まで実際に物件を確認することができます。したがって全てにおいての実物大を体感できます。

6.新築住宅よりも立地の選択肢が増える

新築にはない中古住宅のメリットとして、特に中古マンションは新築マンションよりも断然立地が良いと言えます。1980年以前に建築された中古住宅が1,160万戸、そして1981年以降に建築された住宅は3,612万戸が存在しており、需要が高く立地の良いところから建築されることを考えると明らかに中古住宅の方が立地が良いところにある確率が高いと言えます。立地の良さは利便性にも直結しますが、資産価値にも大きく影響します。

7.新築だからと言って耐震性に問題がないわけではない

新築だからと言って安心できるわけではないというのが耐震性の本当のところではないでしょうか。2015年10月に新築マンションとして売り出された横浜市のマンション2棟では施工データの改ざんやマンションが傾いているという欠陥が見つかったという問題が発覚しています。欠陥が発覚したら、そのマンションの資産価値は確実に下がるどころか、全住民で補修工事の費用負担をしなくてはならない場合もあります。中古住宅であっても1981年以降に建築されたものであれば、1981年に改正された新耐震基準のもとで竣工されていますので、2022年に完成した新築マンションでも2015年の中古マンションでも耐震基準は基本的に同じです。いままでも各地で大きな地震が起きていますが、それでも実際に問題が起きていない中古マンションが、実績から見ても耐震性の観点で安心できると言えると思います。

8.近隣住民を把握したうえで住める

新築住宅のデメリットの一つに、隣にだれが住むのか把握できないまま購入しないといけないという点があります。中古マンションの場合、エントランスなどの掲示板に館内トラブルや騒音トラブルに関する掲示がなされていることもあり事前に把握することができるほか、中古住宅の場合、売主に売却理由や、近所やお隣さんのことも聞くことが可能です。不動産会社の担当者に確認したり、マンションの口コミサイトを利用して状況を確認することも可能です。

9.中古住宅の寿命は延び続けている

現実には中古住宅の寿命は延び続けています。国土交通省の調査によると、鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は120年、外壁塗装などのメンテナンスを行った場合で150年とされています。日本ではあまり築100年という建物を想像するのが難しいのですが、海外では築100年以上の建物は珍しくありません。中古住宅の流通促進やSDG’Sの推進によりメンテナンスして長く使うという考え方が浸透すればさらに寿命は延びていくと思われます。

10.建て替えは実際には起こらない

よく築年数の古いマンションを購入してもすぐに建て替えになるのではと心配する方がいらっしゃいます。しかし実際には建て替えが起こる可能性は極めて低いといえます。建て替えには所有者の5分の4以上の賛成が必要になることや、建て替え費用として1,000~2,000万円程度の費用が必要になってくるからです。住民も高齢化している可能性が高く、住宅ローンをほぼ完済している高齢者が、建て替え費用1,000万円をしはらう可能性は限りなく低いと思われます。なので建て替えは全体の2%にとどまっています。

このような数々の理由から、もし新築と中古で迷った場合には中古住宅の購入を前向きに検討してはどうでしょうか。上記に記載したことが全てではありませんが、皆さんの頭の中ん入れておいて「中古住宅購入」を考えて見ましょう。